成功するライターはみんな意識している! トンマナ(トーン&マナー)とは?

コラム

会社を設立してまもないころ、あるサイトのテキストをまとめてご依頼いただきました。このとき新たに一緒にはじめたライターさんの一人が、わずか2ヶ月で「もうあなたとは仕事ができない」と言って去っていきました。

言い分はこうでした。工夫して他の記事と差別化しているのに、なぜわかってくれないのか――。

たしかに、このライターさんが自分なりに考えて記事を書いてくださっていることは伝わっていました。しかし結果的には、こちらで修正するかリテイク(書き直し)をお願いすることが多かったのです。

なぜこのようなことが起きてしまったのでしょうか。それはこの方が「トンマナ」の重要性を理解していなかったからです。

聞きなれない言葉? トンマナ(トーン&マナー)とは

「トンマナ(トーン&マナー)」は、もともと広告業界やデザイン業界、Web業界で使われていた言葉です。

たとえば企業のWebサイト(いわゆるホームページ)には「事業内容」「会社情報」「過去の実績」「採用情報」などさまざまなページがありますが、ページによってレイアウトやカラー、フォントなどがバラバラだったらおかしいですよね。こうした無秩序な状態を避けるために必要なのが「トンマナ」です。

簡単に言えば、サイト全体の「トーン(調子)」と「マナー(様式・様子)」を統一するという考え方です。

新人ライターさんがお世話になる機会が多そうなキュレーションサイトから、大御所コピーライターさんが担当する新商品の広告まで、すべての制作物にはコンセプトがあります。そしてそれにふさわしいデザインが採用されているのです。レイアウトもカラーもフォントも実は計算されつくされているわけですね。

そうであればライターもトンマナに適した文章を書かなければいけません。新人ライターさんと仕事をしていると、これができない人が多いことに気づきます。

パステル

ライターが具体的に気をつけるべきことは?

特に意識したいのは「文体」と「言葉」です。

文体

文体といえば「です・ます調」にするのか「だ・である調」にするのかを決めるのが基本です。

たとえばポータルサイトの1記事を任されたとします。このとき他の記事がすべて「です・ます調」で書かれているのに、自分だけが「だ・である調」で書くわけにはいきません。媒体が決めた文体で書く必要があるわけです。

最近は「会話調」もよく使われます。「~ですよね」など、相手に話しかけるように書くことで、親しみを抱いてもらおうとする文体です。このライター講座も硬めの文体をやや柔らかくするために、部分的に会話調を使って書いています。

どんな文体にすべきかわからない場合は、過去の記事を確認し同じように書いてみるのがいいでしょう。それでもわからない場合は担当の編集者さんに聞けば教えてくれると思います。

ちなみにこれは書籍を書く場合も同じです。編集者さんには「こういう本にしたい」というコンセプトがあります。執筆前によく打ち合わせして、方向性とともに文体も確認するといいですね。

言葉

言葉には想像以上の力があります。上手に使えばブランディングや説得のツールになりますが、使い方を間違えるとイメージの悪化などの大きな傷になりかねません。

企業はこうしたことをよく考えて自分たちが使う言葉を決めています。媒体Aでは使用OKの言葉が、媒体BではNGとされていることも。企業理念やメディアのコンセプトによって考え方が異なるため、こうしたことが起きるのですね。

他にも、すべての記事に適用される構成や漢字の表記など、気をつけたいことはあります。独自のレギュレーション(ルール)が用意されている場合は、これに従うといいでしょう。

冒頭に登場したライターさんの記事はたしかに工夫されていましたが、トンマナがほぼ守られていませんでした。ライターは作家とは違います。何もかも自由に書いていいわけではありません。トンマナを守って文章を書くことも、ライターに求められるスキルの一つです。ぜひ覚えておいてくださいね!

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