時間と労力をかけて原稿を書いたのに、編集者さんからは「うーん、わかりづらいな……」の一言。“新人ライターさんあるある”です。
こんなことがあると気分が落ち込むもの。私も何度か経験しましたが、あの徒労感と言ったら……笑 しかし嘆いてばかりもいられません。自分の文章を改善しなければ同じ失敗を繰り返してしまいます。今回は書いた原稿が読者に伝わらない原因と対処法について考えてみたいと思います。
あなたの文章が伝わらない原因
新人ライターさんと一緒に仕事をしていて、わかりづらい文章の共通点が見えてきました。
- 結論がわからない
- 結論はわかるが、上手な構成になっていない
- それぞれの文が正しい言葉で書かれていない
主にこの3点でしょうか。
そもそも文章に必須の要件をはずしているから、わかりづらくなってしまうのですね。
特に3の「正しい言葉で書かれていない」というのは「日本語がおかしい」と同じ意味です。編集者さんも社会人ですから「あなたの日本語おかしいですよ!」とは言いませんが(当たり前)、「わかりづらい」という言葉に気持ちを込めて察してもらおうとしているのかもしれません。ライターとして致命的です。
「わかりづらい」と言われないようにするには、どんなことに注意すればいいでしょうか。
自分の文章を読者に伝えるためのチェックポイント
原稿を書く前に(あるいは書きながら)意識したいポイントをいくつかピックアップしました。
- あなたの伝えたいこと(結論)ははっきりしているか
- 伝えたいことに向けて効果的な構成になっているか
- 主語と述語にねじれがないか
- 修飾語と被修飾語は対応しているか
- 言葉の羅列になっていないか
- 「てにをは」に間違いはないか
- 正しい位置に読点(、)が打たれているか
- 削れる言葉が残っていないか
必要なものに説明を加えます。
主語と述語にねじれがないか
主語と述語のねじれとは「主語と述語の不一致」のことです。少し難しいでしょうか。この文をご覧ください。
「楽しみは」という主語を「読んでいます」という述語が受けています。これでは文として成立していません。「楽しみ」という人が小説を「読んでいる」ことになってしまうからです。正しく書きかえてみます。
「楽しみ=読むこと」になりました。これなら文として成立します。
修飾語と被修飾語は対応しているか
個人的にはこれが新人さんにもっとも多い問題だと感じています。たとえば、こちら。
何の問題もないように思えますが、よく考えてみると2つの可能性があることに気づきます。
- いつのまにか→空になった
- いつのまにか→満たされていた
「いつのまにか空になった」のか「いつのまにか満たされていた」のかがわかりづらいのですね。普通に考えれば「いつのまにか満たされていた」でしょうから、この意味になるように書きかえてみます。
グッとわかりやすくなりましたね。修飾語(「いつのまにか」)と被修飾語(「満たされていた」)をできるだけ近づけることが大切です。
正しい位置に読点(、)が打たれているか
読点(、)を打つ場所によって、意味が180度変わってしまうことにも注意が必要です。たとえば、この文をご覧ください。
魚をくわえているのが、サザエさんなのかドラ猫なのかがわかりませんね。まずはドラ猫が魚をくわえている文に書きかえてみます。
でも、もしかしたらですよ?
サザエさんが魚をくわえているのかもしれませんよね!?笑
こ、こわい……。魚をくわえたサザエさんが追いかけてきたら、そりゃドラ猫も逃げますわ笑
ほかにも説明が必要なものはありますが、この記事のなかではとても書ききれないほど長くなりそうなので別の機会に譲ります。
ここまでを読んで「こんな文、書くわけないじゃないか!」と思う新人ライターさんがいるかもしれません。しかし、冗談でなく本当に同じような原稿が納品されることがあるのです。文章の完成度はギャランティに直接影響することがあります。こうした説明が少しでも新人さんの役に立つことを願っています。
今回もありがとうございました。