ライターが原稿を書く前には、いくつものことを考えなければなりません。読者ターゲットは誰なのか、どんな構成が効果的か、どんな文体にするのかなど、実にさまざまです。作業の比率を表すと、個人的には「書く前の準備7:実際の執筆3」ぐらいではないかと思えるほど。今回は、このなかで特に忘れてはいけないことについて書いてみようと思います。
ライターが原稿を書く前に強く意識しなければいけないこと
書く前の準備として大切なことは原稿のジャンルを意識することです。ここでいう「ジャンル」とは、「スポーツ」「歴史」「サブカル」といったカテゴライズのことではありません。「漫画原作」「レポート記事」「ショップ紹介」「セールスコピー」「実用書」「実録記事」「エッセー」といった、原稿の「種類」のことだと考えるとわかりやすいでしょう。これを考えずに原稿を書くと、かなりの確率で失敗します。
実は私もここを明確にしないまま原稿を書き進めてしまい、苦い思いをした経験があります。あのときの徒労感といったら……。原稿を書く前に種類を意識しなければいけないのだとわかってからは、時間や労力の無駄を大きく削減できるようになりました。
種類を意識することで文章制作が成功に近づくのはなぜでしょうか。それは各種の原稿に“表現すべきこと”があるからです。
あなたは、自分の原稿でなにを表現しますか
それぞれの原稿で表現すべきことは、以下の通りです。
- 漫画原作…主人公のキャラクターを魅力的に表現する。
- レポート記事…レポート対象の魅力が読者に伝わるように表現する。
- ショップ紹介…ショップの魅力が伝わるように表現する。
- セールスコピー…商品を購入することのベネフィット(利益)が伝わるように表現する。
- 実用書…わかりやすい言葉で、誰もが理解できるように表現する。
- 実録記事…事実をドラマティックに表現する。
- エッセー…具体的なエピソードをおもしろく書き、そこから生まれる考えをわかりやすく表現する。
私の経験上、大切だと思うことをあげてみました。別のライターさんに聞いたら違うポイントをあげるかもしれません。ほかにもたくさんありますが、まずはこれを意識すれば成功に大きく近づくでしょう。
新人さんのなかには、とりあえず書きはじめてしまう方がいるようです。もちろん文章制作に絶対の法則はありません。いま正しいとされている方法が1年後には間違いになっている可能性はあります。ですから、こうした新人さんを否定することはできません。そうだとは言え、あえて肯定することもできません。表現することを考えずに書いた原稿はピンボケしていることが多いからです。
あなたがライターとして活躍したいのならば、原稿で表現することを事前に意識することが非常に重要だと思います。